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2013年09月10日

適正な採用選考とは?①

経営に役立つ労務管理講座ということで、役立ちそうな
知識色々をこれから書いていきたいと思います。


まずはじめに従業員の採用選考についてです。

採用の募集をする際に、次のようなことに思い当たる
ようだったら注意が必要です。

① 応募用紙などに、本人の適性や能力と関係のないことを書かせたり
 そのような書類の提出をさせたりしていませんか?

② 募集・採用の際に、男女で異なる取扱いをしていませんか?

③ 募集する場合に、年齢制限を設けていませんか?

④ いったん採用OKの通知をした後に取消したりしていませんか?


本日は①について詳しく…

行政(厚生労働省)は、本人の適性や能力と関係のない次の
ようなことを応募用紙に書かせたり面接で尋ねることは、
就職差別につながるおそれがあるとしています。

 ・本籍・出生地に関すること
  →「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」などの提出

 ・家族に関すること
  →家族の仕事の有無・職種・勤務先、家族構成など

 ・住宅状況に関すること
  →間取り、部屋数、住宅の種類、近郊施設など

 ・生活環境・家庭環境などに関すること

 ・宗教、支持政党、思想に関すること

 ・労働組合・学生運動など社会運動に関すること
 

 ・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 など

これらは、確かに法令や政策などの点からなんとなく
まずいなと感じるところではないでしょうか。

ただ、それ以外にも、次のようなことを聞くことも就職
差別につながるおそれありとしています。

・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・購読新聞・愛読書などに関すること


まず注目したいのは、あくまで差別につながる「おそれ」がある
ということです。
それに、会社としては、本人の適性や労働観、仕事に対する
姿勢を把握するためにこれらを聞きたいということもあります。
そもそも、これらを聞くことが差別につながるということが
法令などで客観的な根拠になっていません。一般常識にも
なっていないように思います。
これらのことを聞いたからといって、必ず違法とまでは
言い切れないのではないでしょうか。

また、身元調査についても同様に指摘されています。
本人に同意を取った上で実施することも、ただちに
違法とまではいえないと思います。
ただ、個人情報の取扱いに十分な対応が求められる
昨今ですから、実施する際にはかなり慎重な取扱いが
必要になってきます。


そもそも企業は採用選考の際に差別してはいけない
のでしょうか?
基本的な考え方は、次の判例でも分かるように企業が
誰を雇うのかについて自由な判断ができるというのが
原則になっているはずです。


「企業者は、…いかなる者を雇うか、いかなる条件でこれを雇うか
について、…原則として自由にこれを決定することができる」
「企業者が特定の思想・信条を有する労働者をその故をもつて
雇入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできず、
…その採否決定に当り、労働者の思想・信条を調査し、…これに
関連する事項についての申告を求めることは、違法とはいえない。」
(三菱樹脂事件)

この判例が出てから時間もたっており、特に個人の情報に
対する意識は格段に高まっています。
この考え方をストレートに適用することには限界が見えている
のかもしれませんが、原則は変わっていないはずです。

企業としては、情報の取扱いに十分に注意し、できる限りの
情報を適正に収集した上で、本人の適性や能力などを基準
としながら厳正に選考する、それにより自社に貢献してくれる
優秀な人材の確保を望みたいところです。
  


Posted by 早田 晋一 at 18:31Comments(0)募集・採用