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2013年10月05日

採用時に実施する健康診断



10月1日には、街角に初々しい(まだちょっとスーツを着こなせて
いない?)若者に出会った方もいたと思います。
この日は、新卒者の内定式を行った会社があったからでしょう。

内定の話を聞くと、来年4月からのフレッシュな若者を見るのが
なんとなく楽しみになってきます。

本日もこうした採用や選考に関する話題です。
今回は健康診断について。


【入社時の健康診断】
皆さんの会社では、入社時に健康診断は実施していますか?
詳しい方は、この健康診断が法律(労働安全衛生法)に定められた
ものであることをご存じだと思います。
つまり、法律に書かれている、「実施しなければならない健康診断」に
なるのです。(行わないと一応罰則もあります‥)

健康診断の項目は、毎年行っている定期健康診断とほぼ同等と
考えてよいと思います。


【採用選考のための健康診断?】
では、この健診の結果を「採用するかどうかを決めるため」に使って
いませんか?
つまり採用選考の材料として健康診断を行っていませんでしょうか。

最初にお伝えした「入社時の健康診断」は採用が決定した人に
実施するものであって、「採用選考のための健康診断」とは
違うものなのです。
この二つは別のものと考えなければいけません。

実はこの問題、国(当時の労働省)も当初は一緒に考えていて
入社時の健康診断を「採用するかどうかを判断するうえの
資料となる」と言ってました。
この解釈が変わって、「採用が決定した者に対する‥健康診断」と
明確にしたのです。


【採用選考のための健康診断は実施できる?】
「入社時」と「採用選考のため」、この二つはまったく異なるので、
「採用選考のための健康診断」は義務付けもされていません。
さらに、国は、採用選考のための健康診断を行う際には、
次のように言っています。

 就職差別につながらないよう、適性、能力を判断するために
 本当に必要かどうか慎重に考えるように!

国としては、採用選考時に健康診断を行うのはむしろ差別に
つながりかねないので、消極的なようです。

ただ、会社としては、応募者が本当に健康で入社後も元気に
働いてもらえるかどうか、とても気になるところです。
ですから、もちろん入社後の業務に関係しない項目を含める
ことはできませんが、採用選考の際に、健康診断を行う、
または直近の健康診断結果を提出してもらうことについては
問題ないと思います。
(ただし、前半でお伝えしたように、これによって入社時の
健康診断を実施したことにはなりませんが)

そして、さらに言えば、入社後に想定される業務内容を伝えた
上で、業務に支障のある健康上の問題や病歴など(つまり、
関係のない病歴等はもちろん除かれます)がないことを申告して
もらうということまで検討してもよいでしょう。  


Posted by 早田 晋一 at 14:10Comments(0)募集・採用

2013年09月25日

採用時の提出書類について

秋分の日と春分の日をはさんで前後の3日間をお彼岸と言うそうです。

この時期に、先祖の供養をしたりお墓参りをしたりすることが多いと思います。
私はご先祖様から無礼といわれるかもしれませんが、今回は結局お墓参り
できませんでした。



さて、今回は社員を採用した際に求める提出書類についてです。

まず貴社の就業規則を見直してみてください。
「住民票」や「戸籍謄(抄)本」などが書かれていませんか。



住民票については、役所に行くと「住民票の写し」か「住民票記載事項証明書」を
求めることができます。

「住民票の写し」は、住民票のすべての項目が(つまり本籍なども)記載されて
います。
一方、「住民票記載事項証明書」は、申請する人が希望する項目だけが
記載されたものになります。

本籍を求めてはならないこととされているため、「住民票(の写し)」ではなく、
本籍が記載されていない「住民票記載事項証明書」を求めるよう改める
必要があります。


「戸籍謄(抄)本」に関しては、原則として求めてはならないこととされています。
特例的に求めてもよい場合もあるようですが、これについては一律求めないように
した方がよいでしょう。



ところで、提出書類に関して、次のようなケースはありませんでしょうか。

「定められた必要書類を、正当な理由もないのに会社に提出しなかったり、
決められている期限内に提出しなかったりする人がいて困っている」



このようなケースについては、判例でも「書類が提出されない場合、
‥会社と従業員との雇用関係につき重大な支障をきたすもの」として、
解雇を有効としているものがあります。


もちろん個別ケースにもよってきますが、必要書類を期限内に提出しない
ことは、従業員としての最初のルールを守らないということです。

企業への誠実性に欠け、企業の業務に支障を与える行為であり従業員
としての適格性を疑わせるのに十分といえます。
解雇処分は検討に値するでしょう。


次回は‥
採用時の健康診断と身元保証について書いてみたいと思います。  


Posted by 早田 晋一 at 09:51Comments(0)募集・採用

2013年09月21日

適正な採用選考とは?③

今日もさわやかな秋晴れですね。
今月2回目の3連休です。
過ごしやすい季節になったので、観光に出かけるのもいいですね。

採用選考に関するお話の続きです。
募集や採用選考の際の次の注意事項について書いてきました。

① 応募用紙などに、本人の適性や能力と関係のないことを書かせたり
 そのような書類の提出をさせたりしていませんか?

② 募集・採用の際に、男女で異なる取扱いをしていませんか?

③ 募集する場合に、年齢制限を設けていませんか?

④ いったん採用OKの通知をした後に取消したりしていませんか?



今日は④について詳しく書きます。
特に新卒者の採用内定取消しが問題になることが多い問題です。
この点で問題になるのは、会社が取消しを伝えた時点で、
本人との間で労働契約が成立しているかどうかということです。

新卒者の採用では一般によく「採用内定」と言われます。
入社前のこの状態にも、大きく次の2つの段階があります。

「採用予定」
  まだ労働契約が成立していない状態。
  会社として従業員としての地位を取得していない。
 ⇒取り消しても解雇にならない

「採用決定」
  労働契約が成立し、会社の従業員としての地位を取得した状態。
 ⇒取消は解雇になる


では、それぞれ具体的にどんな状態のことをいうのでしょうか。

「採用予定」とは、簡単に言えば「採用の予定」ということを本人に通知
(電話、手紙、口頭、メールなど)している場合です。
まだお互いの合意になっておらず、その後の手続が予定されている状態です。

「採用予定」の人には、まだ契約が成立していないので自由に取消をしても
確かに解雇にはなりません。
ただ、取消の理由が不当なものであれば、予約を不当に破棄したということで
損害賠償責任を負う場合があるので注意
が必要です。


逆に「採用決定」とは、たとえば、卒業したら間違いなく入社するという誓約書が
提出され、会社が受け取った段階や入社前教育を開始した段階など。
この段階で労働契約が成立したといえます。
つまり、この段階での取消は「解雇」になり、正当な理由がなければ
取消が無効になる可能性
があります。

正当な理由とは、次のようなことがあります。
・あらかじめ定めた条件(卒業、資格取得など)を満たさなかったこと
・あらかじめ定めた取消の条件(健康の異常など)に該当したこと
・犯罪行為を犯したことなど

それでも、これら正当な理由がない場合にどうしても内定を取り消したい‥
そのような場合にはどうすればいいのか。
本人にどうしようもない事情を誠実に説明して(場合によっては金銭の
提示も含めて)トラブルにならないよう合意を得ているのが現実ではないでしょうか。

採用選考は、特に新卒者の場合には、本人の人生を左右する重要な場面です。
採用する側としては、重要な役割を担っているという意識を持って、責任のある
判断をすることが必要です。
この意識をもつことが、学生から「ブラック企業」と言われないようにするためにも
まず大事なのかもしれませんね。

  


Posted by 早田 晋一 at 09:52Comments(0)募集・採用

2013年09月17日

適正な採用選考とは?②

写真

本日はさわやかな秋晴れとなっております!
昨日の夜は久しぶりに散歩しましたが、風がとても気持ち
よかったです。
(↑上の写真は近くの展望台からの福岡の夜景)
お彼岸が近くなりやっと夏が終わった感じですね。


↓写真は、先週出張で行った沖縄の朝です。こちらはまだ夏ですね!



さて、今日は採用選考に関するお話の続きです。
前回は、募集や採用選考の際の次の注意事項と、①の詳しい
内容をお伝えしました。

① 応募用紙などに、本人の適性や能力と関係のないことを書かせたり
 そのような書類の提出をさせたりしていませんか?

② 募集・採用の際に、男女で異なる取扱いをしていませんか?

③ 募集する場合に、年齢制限を設けていませんか?

④ いったん採用OKの通知をした後に取消したりしていませんか?



今回は②から
募集、採用選考の際に、次のように男女で異なる取扱いをすることは
禁止されています。

 ・募集・採用の対象を男性や女性のみとすること
 ・男女で異なる条件を付けること、
 ・男女のいずれかを優先すること など

ただ、ある職務の女性の割合が男性の4割未満だった場合には、
女性を有利に扱うこと(女性を優先的に募集、採用することなど)は
認められています
。 (ポジティブアクション)


それから③について
従業員を募集する際に、年齢制限を設けてはならない、つまり
求人票や募集要項などで、募集する年齢の範囲や年代などを
制限してはならないというものです。


ただし、次のような場合は、例外として制限することが認められています。

 ・法令の定めで年齢制限が設けられている場合
 ・長期の勤続でキャリア形成を図るために、若者などを期間の定めの
  ない雇用として募集・採用する場合
 ・技能・ノウハウの継承のために、特定の職種で従業員数が相当少ない
  年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない雇用として募集・採用する場合
 ・60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の
  施策の場合のみ)の対象者に限定して募集・採用する場合など

とはいっても書き方にもよります。次のような例も参考にしながら書き方を
工夫してはいかがでしょうか。

 「学生歓迎」「スタッフ全員が20代」「元気な社員が活躍する明るい職場」 ⇒ OK
 「35歳未満の方歓迎」 「エルダー歓迎 ※40歳以上歓迎マーク」 ⇒不適当


次に④について
こちらは、特に新卒者の採用取消しが問題になることが多いです。
この点で問題になるのは、会社が採用取消しを伝えた時点で、
本人との間で雇用契約が成立しているかどうかということです。
長くなりそうなので、詳しい説明は次回お伝えします!
  


Posted by 早田 晋一 at 10:29Comments(0)募集・採用

2013年09月10日

適正な採用選考とは?①

経営に役立つ労務管理講座ということで、役立ちそうな
知識色々をこれから書いていきたいと思います。


まずはじめに従業員の採用選考についてです。

採用の募集をする際に、次のようなことに思い当たる
ようだったら注意が必要です。

① 応募用紙などに、本人の適性や能力と関係のないことを書かせたり
 そのような書類の提出をさせたりしていませんか?

② 募集・採用の際に、男女で異なる取扱いをしていませんか?

③ 募集する場合に、年齢制限を設けていませんか?

④ いったん採用OKの通知をした後に取消したりしていませんか?


本日は①について詳しく…

行政(厚生労働省)は、本人の適性や能力と関係のない次の
ようなことを応募用紙に書かせたり面接で尋ねることは、
就職差別につながるおそれがあるとしています。

 ・本籍・出生地に関すること
  →「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」などの提出

 ・家族に関すること
  →家族の仕事の有無・職種・勤務先、家族構成など

 ・住宅状況に関すること
  →間取り、部屋数、住宅の種類、近郊施設など

 ・生活環境・家庭環境などに関すること

 ・宗教、支持政党、思想に関すること

 ・労働組合・学生運動など社会運動に関すること
 

 ・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 など

これらは、確かに法令や政策などの点からなんとなく
まずいなと感じるところではないでしょうか。

ただ、それ以外にも、次のようなことを聞くことも就職
差別につながるおそれありとしています。

・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・購読新聞・愛読書などに関すること


まず注目したいのは、あくまで差別につながる「おそれ」がある
ということです。
それに、会社としては、本人の適性や労働観、仕事に対する
姿勢を把握するためにこれらを聞きたいということもあります。
そもそも、これらを聞くことが差別につながるということが
法令などで客観的な根拠になっていません。一般常識にも
なっていないように思います。
これらのことを聞いたからといって、必ず違法とまでは
言い切れないのではないでしょうか。

また、身元調査についても同様に指摘されています。
本人に同意を取った上で実施することも、ただちに
違法とまではいえないと思います。
ただ、個人情報の取扱いに十分な対応が求められる
昨今ですから、実施する際にはかなり慎重な取扱いが
必要になってきます。


そもそも企業は採用選考の際に差別してはいけない
のでしょうか?
基本的な考え方は、次の判例でも分かるように企業が
誰を雇うのかについて自由な判断ができるというのが
原則になっているはずです。


「企業者は、…いかなる者を雇うか、いかなる条件でこれを雇うか
について、…原則として自由にこれを決定することができる」
「企業者が特定の思想・信条を有する労働者をその故をもつて
雇入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできず、
…その採否決定に当り、労働者の思想・信条を調査し、…これに
関連する事項についての申告を求めることは、違法とはいえない。」
(三菱樹脂事件)

この判例が出てから時間もたっており、特に個人の情報に
対する意識は格段に高まっています。
この考え方をストレートに適用することには限界が見えている
のかもしれませんが、原則は変わっていないはずです。

企業としては、情報の取扱いに十分に注意し、できる限りの
情報を適正に収集した上で、本人の適性や能力などを基準
としながら厳正に選考する、それにより自社に貢献してくれる
優秀な人材の確保を望みたいところです。
  


Posted by 早田 晋一 at 18:31Comments(0)募集・採用