2013年10月24日
限定正社員というのが話題になってますね〔後編〕
前回は、今注目を集めている「限定正社員」と従来の「無限定正社員」
との違いや共通点、そして「限定正社員」が話題となっている背景に
ついてお話ししてきました。
今回はその後編、話題となっている背景の続きです。
【話題になっている背景③】
今年4月から改正された労働契約法がスタートしました。これにより、企業は
有期契約の従業員が更新により5年を超えて働くと、無期雇用にせざるを
えなくなりました。
期間の定めはないのですが、職務内容や勤務地はそのままで変更しにくい
ので、結果として事実上「限定正社員」になります。こうした働き方がこれから
増えていくことが予想されるので、「限定正社員」の働き方が注目されて
いると言えます。
【話題にになっている背景④】
「無限定」の正社員は、「どこに転勤になってもいい」、「どんな仕事内容に
なってもいい」、「残業もいとわない」という働き方ですので、企業の指示に
よりかなり自由に働かせることができます。
逆に言えば、その職場がなくなったり、仕事がなくなったとしても、企業は
他の職場や仕事を用意しなければならず、会社の都合による解雇しにく
かったのが実情でした。
「無限定」の正社員のスタイルから言えば当然でもあると思います。
一方、「限定正社員」では、他の勤務地や仕事の手配までは問わない
(手配しなかったとしても解雇は有効)と裁判所が判断するケースも
多くなっています。
つまり勤務地や仕事が限定された「限定正社員」については、解雇を
避けるための転勤や仕事内容の変更など会社が努力しなければならない
範囲が狭まることになります。
また、その勤務地や仕事内容の従業員を全員解雇すれば、解雇の
対象者が適切な人選だったかも問われないことになります。
もちろん解雇が有効かどうかを判断するのは裁判所でして、あくまで
これまでのケースでのお話しです。
今後限定正社員の働き方が普及した際に、限定正社員の解雇に対して
裁判所がどのような判断をするのかは、まだ未知数でもあります。
【社会全体として環境整備と意識の転換を】
働く側も含めて「限定正社員」にこれまで書いてきたような特徴がある
ことを十分に認識した上で、こうした働き方を選ぶことが重要になります。
そのためには、無期雇用になればクビにされにくいとった意識の転換を
はかっていく必要があります。
限定正社員は、別に新しく法律を作らなくても、現在の法律の中で企業と
従業員がこの働き方による雇用契約を結べばいい話です。
ですが、この働き方を普及させるためには、企業と従業員双方が受入れ
やすい環境づくり、それから特に働く側の意識改革をしていく必要があると思います。