2013年09月21日
適正な採用選考とは?③
今日もさわやかな秋晴れですね。
今月2回目の3連休です。
過ごしやすい季節になったので、観光に出かけるのもいいですね。
採用選考に関するお話の続きです。
募集や採用選考の際の次の注意事項について書いてきました。
① 応募用紙などに、本人の適性や能力と関係のないことを書かせたり
そのような書類の提出をさせたりしていませんか?
② 募集・採用の際に、男女で異なる取扱いをしていませんか?
③ 募集する場合に、年齢制限を設けていませんか?
④ いったん採用OKの通知をした後に取消したりしていませんか?
今日は④について詳しく書きます。
特に新卒者の採用内定取消しが問題になることが多い問題です。
この点で問題になるのは、会社が取消しを伝えた時点で、
本人との間で労働契約が成立しているかどうかということです。
新卒者の採用では一般によく「採用内定」と言われます。
入社前のこの状態にも、大きく次の2つの段階があります。
「採用予定」
まだ労働契約が成立していない状態。
会社として従業員としての地位を取得していない。
⇒取り消しても解雇にならない
「採用決定」
労働契約が成立し、会社の従業員としての地位を取得した状態。
⇒取消は解雇になる
では、それぞれ具体的にどんな状態のことをいうのでしょうか。
「採用予定」とは、簡単に言えば「採用の予定」ということを本人に通知
(電話、手紙、口頭、メールなど)している場合です。
まだお互いの合意になっておらず、その後の手続が予定されている状態です。
「採用予定」の人には、まだ契約が成立していないので自由に取消をしても
確かに解雇にはなりません。
ただ、取消の理由が不当なものであれば、予約を不当に破棄したということで
損害賠償責任を負う場合があるので注意が必要です。
逆に「採用決定」とは、たとえば、卒業したら間違いなく入社するという誓約書が
提出され、会社が受け取った段階や入社前教育を開始した段階など。
この段階で労働契約が成立したといえます。
つまり、この段階での取消は「解雇」になり、正当な理由がなければ
取消が無効になる可能性があります。
正当な理由とは、次のようなことがあります。
・あらかじめ定めた条件(卒業、資格取得など)を満たさなかったこと
・あらかじめ定めた取消の条件(健康の異常など)に該当したこと
・犯罪行為を犯したことなど
それでも、これら正当な理由がない場合にどうしても内定を取り消したい‥
そのような場合にはどうすればいいのか。
本人にどうしようもない事情を誠実に説明して(場合によっては金銭の
提示も含めて)トラブルにならないよう合意を得ているのが現実ではないでしょうか。
採用選考は、特に新卒者の場合には、本人の人生を左右する重要な場面です。
採用する側としては、重要な役割を担っているという意識を持って、責任のある
判断をすることが必要です。
この意識をもつことが、学生から「ブラック企業」と言われないようにするためにも
まず大事なのかもしれませんね。