2013年09月28日

長時間労働にともなうリスクを考える

飲食チェーン店「日本海庄や」の過労死に関する民事訴訟が確定したようです。
亡くなられた社員の遺族が、長時間労働が原因として、お店を展開する会社と
役員に約1億円の損害賠償を求めていました。

最高裁で会社側の上告が退けられたため、計約7800万円の支払いを命じる
判決が確定したとのことです。


亡くなられた方のこれまでの経緯はおおむね次のようです。

 2007年4月 卒業後に入社 大津市の店舗で勤務(調理担当)
 2007年8月 急性心不全で死亡
 2008年12月  労災認定

亡くなられた当時24歳。入社してからわずか4ヶ月目とのことでした。
死亡前4カ月間の時間外労働は月平均100時間を超えていたようです。
これが事実とされれば、国の定めた労災の認定基準(※)にも該当しているので
労災認定される可能性は高かったと思います。

(※)発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働または
   発症前2~6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を
   超える時間外労働だと、業務との関連性が強いと評価されるもの
  

労災認定されれば、当然ながら民事での損害賠償請求でも遺族側の主張に
大きく傾くことになると思います。

今回は会社だけでなく役員の責任も認めたという点でも、今までとは違う意味を
持っているといえます。
役員が自社の給与体系や勤務管理の仕組みを責任もって決定し問題あれば
見直していかなければ、個人としての責任を追及される可能性もあるという
ことになります。

それに、確定するまでは死亡後6年以上。ご遺族の方にとってももちろん長く
大変な期間だったと思いますが、会社としてもそれまでに払ってきた労力と費用は
相当なものだと思います。これも見えない損失です。



いずれにしても、企業、経営者としては、長時間労働に伴うリスクが、残業代の
問題と同じくらいかそれ以上に大きなものであるということを認識させられる
ものだったと思います。


とはいっても、ざっくばらんに言って、残業時間が月60時間や80時間を超える
という社員は、結構な割合でいるのではないでしょうか。
もちろん今回の過労死のケースとは、仕事の質や密度やかかるプレッシャー、
労働環境などが違うと言われるかもしれません。
ただ、実際にことが起こった際には、労働時間という形式的なものがまず
重要視されます。

極端にいえば、残業の必要性などをあまり管理せずに、社員の申請のままに
残業を認めていたことが、万が一の際にあだになり、労災認定や損害賠償に
発展することだって考えられます。




労働時間の「管理」とは、単にきちんと時間を記録して把握しておくこと
ではなく、「コントロール」することだと思います。

その社員に残業させる必要があるのか、これまでどの程度残業させて
いるのかなどをしっかりと確認した上で、問題にならない範囲で指示・
承認をする。
その上で、後で何か起こっても問題にならないようコントロールすることが
求められているように思います。
やはり日々の時間をみている管理職の方の役割と責任がまずは大きく
問われることになってきそうです。


すみません‥今回は考えさせられる問題だったので、ちょっと
難しい話を長く書いてしまいました。



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Posted by 早田 晋一 at 12:29│Comments(0)雑感
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